桐生タイムス1998年(平成10年)12月18日(金曜日)掲載
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「桐生からくり人形研究会」(山鹿英助会長、会員約30人)の活動ぶりが、NHKの人気番組「小さな旅」で全国に紹介される。織都・桐生の歴史をバックに、発掘したからくり人形を研究し、各種の職人技を結集してレプリカを作製、芝居の再現を目指す人々のドラマだ。撮影クルーは17日夜に桐生入り、19日の本町骨董市からロケを開始、26日には有鄰館で公開録画を行うことになっている。
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天満宮御開帳臨時大祭の飾り物として上演されてきた「桐生からくり人形芝居」は、昭和36年が最後の興行。近年の調査で天満宮や本町1・3・4丁目町会に保管されていた人形や舞台の存在が明らかになり、木製のチェーンや歯車、引き札などの関連資料や当時撮影された16ミリフィルムも見つかって、「日本芸能史の空白を埋める貴重な文化遺産」と高く評価されている。
 民間有志でつくる「からくり人形研究会」は市内にまだ眠っていると思われる資料の発掘に努める一方、「動いてこそからくり人形」とその仕組みの解明やレプリカでの再現に取り組んできた。過程は今年、昨年とファッションウイーク期間中に公開され、多くの市民に郷愁とともに新鮮な驚きを与えている。
 NHKはそうした動きを取材してきたが、新たにハイビジョン撮影して一本の番組にまとめ、来年1月23日「小さな旅」で放映することになった。からくり仕掛けには織機の製作や改良修理にまつわるさまざまな職人がかかわっており、「機織りの都・桐生」をあらためてクローズアップするものだ。
 撮影は19日の本町骨董市から始り、21日には名取アナウンサーも来訪して桐生倶楽部での研究会の様子を収録。人形本体の内部機構を弁明し再現する佐藤貞巳さん、パチンコ機器の技術を応用して舞台の搬送部分を製作する須藤広志さん、衣装の絵付けをす柘植洋二さんらの工程も織り込む。
 クライマックスは「曽我兄弟夜討」のからくり芝居が動態復元されるシーン。録画は26日午前10時〜午後4時、有鄰館味噌醤油蔵で行うことになっており、市民にも公開して感動を共有してもらう。
 田中則広ディレクターは「桐生川の風情や天満宮、明治館などの歴史的建造物も入れ、桐生を愛するみなさんの気持ちが伝わる番組にしたい」と話している。

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