近代化遺産は明治時代から昭和20年にいたる近代の産業・交通・土木などに関する建造物等が対象であるが、これまで十分な文化財的な保存措置がとられていなかった。そのためこれらの文化財的建造物も技術革新や産業構造の変革等によって、取り壊しや改変が急速に進行しているのが実状である。
近代化遺産建造物の保存措置を検討するため、群馬県教育委員会では国庫補助事業として、平成2年度化ら総括的な基礎資料を収集するための「群馬県近代化遺産総合調査」を実施し、平成3年3月に「群馬県近代化遺産総覧」として、1・2次調査の結果がまとめられた。それによると群馬県内においては982件が報告されたが、その内桐生市には約10%にあたる97件があり、群馬県では最も多いものとなった。現在でも独自の継続調査を実施しており、新たな発見がかなり認められている。