鶴岡政男(つるおか・まさお 1907〜79年)は、群馬県高崎市に生まれ、戦後直後から日本現代美術界において現実への鋭い風刺と批判精神を表現し、常にその最先端で活躍を続けた画家でした。松本竣介(まつもと・しゅんすけ 1912〜48年)は、戦前から画家として、また、エッセイ誌『雑記帳』の編集者としても才能を発揮し、都市―東京とそこに重ねた心象風景を描き、更なる戦後の出発と発展を待たずして病に倒れた芸術家です。この2人は、表現方向・性格共に対照的ですが、画学生として太平洋画会研究所、また戦中のグループ「新人画会」等で共に活動し、戦争という現実と戦い続け、その現実とは矛盾する人間性の表現を追い求めてきた仲間です。
2人の交友は、竣介の若くしての死により、戦前・戦中の短い期間に限られています。しかし、鶴岡は竣介のデスマスクを描き、彼の志を確認し、受け継ぎながら彼の2倍の人生を生きました。
本展は、鶴岡と竣介の作品上の共通点はもとより、彼らの人間的つながりを読み解くことから、彼らの作品の奥に潜む独特の詩情に光を当てることを試みるものです。更には、より広い新人画会の仲間たちの、当時の人的ネットワークを探る一端となればと考えます。表現上での比較と資料などの記述より、2人の関係と、それぞれの芸術の真髄に迫ります。