作者のことば
白滝姫物語
松崎 寛
- 桐生織物史による四つの伝説(漢文、古文)が原本となり、私の創作をおりまぜた、伝説絵本物語です。 原典四種の伝説を比較すると、時代、歌詞に小異あるのみで、その骨子は一つのものと想定されます。
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- 桐生の一農民が、高貴な白滝姫を花嫁にして、自分の故郷につれ帰り織物を普及させる。 身分制度の厳しい時代に、本来ならうち首のところ、結婚まで許す帝の優しさ。寛大さ、これらは、現代社会にも通ずるヒロイズムであり、崇高なロマンです。
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- 絵(日本画)の方は、それぞれ苦労しましたが、特に平安京と仁田山村では、モチーフの180度転換で、栄華を極める「宮中とたて穴式住居」、「お姫さまと農民」とでは、異なったイメージを与えてしまうかもしれません。
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- 出版に関しては、これまで幾度となく困難の壁につきあたり、一時は断念し、一つの本を世に出すことの難しさ、厳しさを痛感いたしました。世間を騒がせ、眠っていた白滝姫を起こしてしまったのではないかと反省もしました。
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- ここに出版することができましたのは、桐生市長小山利雄殿、桐生信用金庫理事長増山作次郎殿に絶大なる御支援を賜り、また中村節也殿共々、過分な御推薦のお言葉を賜り、謹んで厚く御礼申し上げます。
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- 製作にさいし、資料やご意見、御指導を賜りました福田教育長殿をはじめ、小林一好殿、平塚貞作殿、他多くの心熱き諸先生方の御力添えを賜り、心より感謝の意を捧げます。
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- 一九八二年九月 記す
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